広告アカウント乗っ取りの実態と対策 2026
運用代理店のためのガイド
第2版:2026年10月 著者:Honte(本手)
この資料は、公表された情報と、筆者が検証用のアカウントで行った検証の結果をもとにまとめたものです。被害を受けた会社を責める意図はありません。事件を公表した会社の判断は、業界全体の対策を進める大切な材料です。事実と推測は分けて書き、推測には「推測」と明記しています。設定の画面や名前は2026年10月時点のもので、媒体の変更により変わることがあります。
筆者の立場: 筆者は、広告運用の代理店向けに、広告アカウントの保護の診断と監視のサービスを提供しています。この資料の対策は、すべて媒体の無料の標準機能と社内の運用だけで実行できるように書いています。特定の製品を使わなくても実行できます。
0. 要旨
何が起きているか 広告運用の代理店が管理する親アカウント(Google 広告の MCC)が乗っ取られ、配下の顧客のアカウントで不正な広告が配信される事件が、国内外で相次いでいます。国内では2025年12月に約5,800万円の広告費が消化された事例が当事者の投稿で伝えられ、2026年10月5日には別の代理店が乗っ取りを公表しました。後者は、パスキーとセキュリティキーによる2段階認証を設定していました。
AI を悪用した手口も報告されています AI の道具(AI エージェント)を導入した後に MCC が乗っ取られたという事案(二次情報。原因は特定されていない)や、AI の広告サービスを装って代理店の担当者のログインの情報を奪うフィッシングが、2026年に報告されました。AI の道具に渡した許可は、パスワードや2段階認証を通らずに使える入口になりえます(2章・5章)。
なぜ代理店が狙われるのか 一つの親アカウントを破れば、配下のすべての顧客に届くからです。
乗っ取りの前半は、Google からのメールで分かる(筆者の検証) 管理者の招待・追加、正規の管理者の取り消し、外部の MCC からのリンクの依頼とリンクの成立、配下のアカウントのリンクの解除は、いずれも Google 広告から管理者にメールで通知されることを、筆者が検証用のアカウントで確かめました(6章)。2026年10月5日の事件の流れに当てはめると、管理者が追加された直後に気づければ、不正なキャンペーンが作られ始めるまでに30分以上の余裕がありました。通知のメールを、誰かが常に見ている状態にすることが、最も費用のかからない早期の検知になります。
今日やるべき6つ 1. 管理者と権限の棚卸し(退職者・外注先・過去の案件の関係者を外す) 2. MCC から配下のアカウントへの2段階認証の強制と、許可するメールドメインの設定 3. Google 広告からの通知のメール(送信元 [email protected])を、複数の人が確実に受け取り、すぐ気づける状態にする 4. 管理者を4人以上にして「複数の関係者による承認」を効かせる(3人以下では動かない) 5. 予算の上限の設定(使える支払いの形に注意) 6. 乗っ取られたときの初動の手順を決め、連絡先を一枚にまとめておく
この資料の読み方 経営者は1・3・4章、運用の担当者は5〜7章(特に6-1の通知のメールの検証の結果)、広告主の宣伝・調達・情報セキュリティの担当者は8章から読んでください。
1. 何が起きているか:事件の時系列
公表された主な事件です(2023年以降、時系列)。
| 時期 | 地域 | 媒体 | 起きたこと | 被害 | 2段階認証 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年10月 | 国内 | Meta | 3連休前日の夕方、既存のキャンペーンが複製され、日予算が100万円、翌未明に200万円へ。編集の権限が変えられ、止められなかった | 約1,050万円(約2か月後に全額返金) | 電話番号(SMS)方式を設定済み | アドオペグラム |
| 2024年11月〜2025年1月 | 世界 | 「Google 広告」を装った検索広告から偽のログイン画面へ誘導し、広告主の認証情報を奪う。管理者を追加し、予算を使い、被害者を締め出す | 数千の顧客に影響の可能性(調査会社の見立て) | 2段階認証のコードも奪われたと報道 | Malwarebytes、The Hacker News | |
| 2024年後半 | 欧州ほか | Meta | 情報を盗むマルウェアで奪ったビジネスアカウントから、マルウェアを配る広告が出された | 約10万人がダウンロード(推計) | ログイン後の情報(Cookie)を盗み、2段階認証を回避 | The Hacker News |
| 2025年3月 | 国内 | Meta | 退職した社員の個人アカウント経由で侵入されたと推定。日予算数百万円の覚えのないキャンペーン。止めても30分で再開する自動ルールまで仕込まれていた | 約312万円(約2か月後に返金) | 入口のアカウントは未設定 | sienca |
| 2025年11月〜 | 世界 | Google の招待メールを装ったフィッシングで、代理店の MCC が次々に奪われる。偽の管理者の追加、攻撃者の MCC へのリンク、高額な予算のキャンペーン | 数百〜数千の代理店に影響と業界メディアが推計 | 2段階認証を使うチームでも被害 | Search Engine Roundtable、PPC News Feed | |
| 2025年12月25日 | 国内 | 海外から会社の Google アカウントに不正にログイン。MCC に第三者を管理者として追加し、正規の管理者を削除。広告アカウントを不正な MCC につなぎ替えた | 約5,800万円(当事者の投稿時点) | 記載なし | 当事者の Threads 投稿(会社の正式な公表文は確認できていない) | |
| 2026年1月 | 米国 | 代理店の MCC が侵害され、正規の管理者が外され、被害者は閲覧のみの状態に | 230アカウント | 非公表 | Ratchet+Wrench | |
| 2026年2月に報告(3月に詳細) | 国内 | AI エージェントの道具を、外部の AI コンサルの支援で導入した後に、代理店の MCC が乗っ取られたと、知人として話を聞いた第三者が X で報告。当事者は原因を特定できていない(2章「AI を悪用した手口」) | 8桁後半(報告者の投稿) | 記載なし | X の投稿(2026年2月17日、3月2日)。当事者・媒体の発表、報道は確認できていない | |
| 2026年4月 | 米国ほか | 大企業を名乗る偽の見込み客が、問い合わせフォームから代理店に接触。3日前に登録された似たドメインを使用 | 被害は未確認 | — | PPC Land | |
| 2026年5〜6月に基盤を確認 | 世界 | Google ほか | AI の広告運用サービス(ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexity・Manus・Meta の Muse の名をかたる)を装った偽サイトで、偽の Google ログイン窓を表示して認証情報を奪う。代理店の担当者と MCC の管理者が標的(2章「AI を悪用した手口」) | 被害者数は非公表 | 操作する人が、どの2段階認証を求めるかをその場で選ぶ。パスキーとハードウェアの認証は、奪える情報を残さないとされる | Island(2026年10月6日)、マイナビ TECH+ |
| 2026年10月5日 | 国内 | 管理用の Google アカウントへの不正アクセス。14:02 に管理者3件が追加され、14:03 に正規の管理者の権限が取り消された。配下のアカウントは外部の MCC へ付け替えられ、オンラインカジノへ誘導するキャンペーンが18時過ぎまで作られ続けた | 連絡が取れた顧客の約半数で費用が発生 | パスキーとセキュリティキーによる2段階認証を設定済み(侵入の経路は特定されていない) | ソルティドッグ株式会社の公表、ITmedia |
読み取れること - 被害の規模は、1件で数百万円から数千万円です。 - 国内の主な事件は、連休の前日の夕方、年末の夜、日曜の午後に起きています。人の目が少ない時間です。 - 2段階認証を設定していても、防げていない事例が多くあります。 2段階認証は必要ですが、それだけでは足りません(2章)。
LINEヤフー広告(旧 Yahoo!広告)・TikTok・X 広告では、国内の公表事例は見つかりませんでした。ただし2024年には、LINE ビジネス ID が流出したパスワードの組み合わせで不正にログインされる事例が国内で12件確認されています(いずれも2段階認証が未設定の ID。INTERNET Watch)。
2. 手口の型
事件に共通する流れは、次のとおりです。
① 入口
偽の招待メール、偽の見込み客、偽のログイン画面、偽の AI 広告サービス、
AI の道具(AI エージェント)に渡した権限、
情報を盗むマルウェア、退職者や外注先のアカウント
↓
② 権限の奪取(数分)
攻撃者の管理者を追加 → 正規の管理者を削除・格下げ
↓
③ 支配の固定
攻撃者の MCC へのリンク、社名に似せた偽の MCC からのリンクの依頼、支払い方法の追加
↓
④ 換金
極端に高い日予算のキャンペーン(オンラインカジノ・詐欺サイトへの誘導、マルウェアの配布)、
止めても再開する自動ルール
↓
⑤ 発覚
夜間・休日のため数時間後。正規の管理者は締め出されていて、止められない
2段階認証が破られる経路
| 経路 | 仕組み | 出典 |
|---|---|---|
| ログイン後の情報(セッション Cookie)を盗む | 端末に入ったマルウェアが、ブラウザに保存されたログイン後の情報を抜き出す。ログインの後に起きるため、2段階認証を通り抜ける | Google、Meta |
| 通信を中継する偽のログイン画面 | 偽のサイトが本物のログイン画面とのやり取りを中継し、パスワードと2段階認証のコード、ログイン後の情報をまとめて奪う | Microsoft |
| 攻撃者のパスキーを登録する | 本物のログインを裏で完了させ、攻撃者自身のパスキーを被害者のアカウントに登録する手口が、2026年に報告された(販売者のデモに基づく分析) | Abnormal AI |
| 外部ツールへの許可の悪用 | パスワードではなく、外部のアプリへのアクセスの許可を奪う | Microsoft Learn |
| 偽の招待・リンクの依頼を承認させる | 承認すれば、認証を経ずに権限が渡る | PPC News Feed、ソルティドッグの公表 |
推測: パスキーとセキュリティキーを設定していた2026年10月の事件では、ログインの時ではなく、ログインの後の情報の盗用や端末側の侵害が経路の候補になります。ただし当事者は経路を特定していません。
AI を悪用した手口
AI が乗っ取りに関わる形は、大きく二つあります。
- AI の道具そのものが入口になる。 広告アカウントを操作する許可を渡した AI の道具(AI エージェント)が、騙されたり、許可を漏らしたりする
- AI で、攻撃の準備が速く、巧妙になる。 偽のサービスのページやフィッシングの文面を、短い時間で、相手に合わせて作れる
以下は、2026年10月24日までに公表された情報です。確かめられた事実と、報告にとどまるものを書き分けています。
1. AI エージェントに渡した権限の悪用(報告された事案。原因は特定されていない)
報告の内容 - 2026年2月17日、広告の業界の情報を発信する X のアカウントが、知り合いの代理店が AI を導入したら MCC が乗っ取られ、桁違いの損害が出た、と投稿しました(X)。 - 3月2日、同じアカウントが詳しい内容を投稿しました(X)。要点は次のとおりです。 - AI の道具(Claude Code と Antigravity)を導入した後に、MCC が乗っ取られた。被害額は8桁後半 - 導入は外部の AI コンサルに依頼していた - 当事者は明確な原因を特定できていない - MCC が正規の権限で操作できる状態だと、媒体の側からは通常の操作と見分けがつきにくく、外部の道具も介在しているため、補償は難しいとのことだった - 翌3月3日以降、note や Zenn などでこの投稿を元にした解説が出ました(エンドレスフライト(note)、サイアムワークス(Zenn))。
情報の確かさ 報告者は被害を受けた代理店ではなく、話を聞いた第三者です。当事者の公式の発表、Google の発表、報道は、2026年10月24日の時点で見つかりませんでした。二次情報であり、原因は特定されていません。 名前の挙がった道具は、事案で使われていたとされる道具であり、その道具の欠陥が原因だと示されたわけではありません。
考えられる経路(報告者が挙げた候補。どれも原因として確かめられたものではない)
| 経路 | 仕組み |
|---|---|
| ウェブのページに隠された指示 | AI が調べもので訪れたページに、小さな文字や見えない形で悪意のある指示が仕込まれ、AI がそれに従ってしまう |
| 配布された指示の文 | 出回っている指示の文(プロンプト)をそのまま使い、その中に悪意のある指示が紛れていた |
| 外部の道具とつなぐ仕組み(MCP)の悪用 | 追加した道具が、許可済みの道具として悪用され、AI エージェントが正規の道具として実行した |
| 認証の情報の流出 | 自動化の途中で、アクセスのための情報(トークン)が記録やひな形に残り、漏れた |
なぜ重要か AI の道具は、広告アカウントを操作するための許可を持ちます。許可を持つ道具の操作は、媒体から見ると正規の操作です。そのため、道具が騙されたり許可が漏れたりすると、パスワードや2段階認証、パスキーを通らずに広告アカウントが動かされます。上の表の「外部ツールへの許可の悪用」と同じ形です。
2. 偽の AI 広告運用サービス
- セキュリティ会社の Island は、2026年10月6日、AI の広告運用サービスを装ったフィッシングの基盤についての調査を公開しました(Island)。
- ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexity、Manus、Meta の Muse の名をかたる偽の広告サービスのページがあり、たとえば Gemini を装うページは、MCC と配下の顧客のアカウントへの対応をうたっていました
- ページの「接続」のボタンを押すと、ページの中に描かれた偽の Google のログイン画面が開きます。本物のブラウザーは偽のサイトにいたままです
- 操作する人がその場で入力を見て、パスワードの再入力を求めたり、どの2段階認証(SMS、認証アプリのコードなど)を求めるかを選んだりできます
- 標的は、代理店の担当者、広告の買い付けの担当者、MCC の管理者です
- Meta が Muse を発表した8日後に、偽の「Muse Ads」が現れました。Island は、AI によってフィッシングの案を、ブランドつきの完成したページにするまでの時間が数分になったと述べています
- 報道によれば、5月27日から6月20日までに、25のドメインで73件の記録が確認され、偽の求人や返金のページにも同じ基盤が使われていました(マイナビ TECH+)。
- これは各社の名前をかたる第三者のフィッシングで、AI を提供する会社のシステムが侵害されたものではありません。
3. AI で巧妙になったフィッシング
- Cisco Talos は、2026年10月8日、台湾の研究機関の関係者を狙ったフィッシングを報告しました(Cisco Talos)。広告アカウントの事件ではありませんが、手口は広告の担当者にも当てはまります。
- 実在の催しを題材にした招待のメールは、構成と言い回しがそろっており、Talos は、AI を使って相手ごとに文面を作り分けた可能性が高いとみています(AI で作られたと断定はしていない)
- 偽の Google のログイン画面が、入力されたパスワードと2段階認証のやり取りを本物の Google にその場で中継し、ログインの状態を奪う仕組みでした
- 読み取れること: 不自然な日本語や雑なページで偽物を見抜く、という方法は効きにくくなっています。招待やリンクの依頼を別の経路で確かめること、偽のサイトでは使えないパスキーやセキュリティキーを使うことが、より大切になります。
参考:AI の道具に書き込みの権限を渡し、Meta の広告アカウントが停止されたという報告(攻撃ではない)
- 海外の掲示板 Reddit に、AI の道具(Claude Code)に Meta の広告の API への書き込みの権限を渡したところ、広告アカウントが永久に停止された、という投稿があり、話題になったと報じられています(Porter Metrics(2026年8月31日)。元の投稿:Reddit)。
- 筆者は元の投稿の中身を確かめられていません。Meta が停止の理由を説明したものも見つかっていません。
- 乗っ取りではありませんが、AI の道具に、人の確認なしに書き込みの権限を渡す危うさを示す例として挙げます。
3. なぜ代理店が狙われるのか
- 一か所を破れば、全顧客に届く。 MCC は、配下のアカウントをまとめて操作できるように作られています。攻撃者にとって、最も効率のよい入口です。
- 損失が、まず代理店に来ることがある。 広告費を代理店が立て替えている場合や、代理店のカードで支払っている場合は、不正な消化の費用を代理店が先に負います。
- 人の目が少ない時間がある。 夜間・週末・連休です。国内の事件は、いずれもこの時間帯に起きています。
- 権限は増える一方になる。 退職者、外注先、終わった案件の関係者のアクセスが残り続けます。2025年3月の事件の入口は、退職者のアカウントでした。
- 代理店は「招待」と「リンク」に慣れている。 新しい顧客からの招待やリンクの依頼を承認するのは、日常の業務です。偽の招待や偽の見込み客の手口は、この慣れを突いています。
4. 被害の構造:誰が損をするか
| 立場 | 損失 |
|---|---|
| 広告主 | 不正に消化された広告費、ブランドの毀損(自社の名前で詐欺サイトの広告が出る)、配信の停止 |
| 代理店 | 立て替えた広告費、顧客への賠償、信用の失墜、取引の停止、復旧の作業 |
| 媒体 | 不正な広告の掲載による利用者の被害 |
返金について
- Google は、侵害の報告と復旧の後に、払い戻しの申請を受け付けます。申請には2段階認証の有効化が前提で、調査には10〜15営業日かかり、認められれば翌月の請求で調整されます(Google 広告ヘルプ)。
- Meta の国内の事例では、返金まで約2か月かかりました。カード会社への被害の報告が必要と案内された例もあります(sienca)。
- 返金されるまでの間、費用を誰が立て替えるのかを、顧客との契約で決めておく必要があります。
保険について
サイバー保険に入っていれば安心、とは限りません。 - 東京海上日動のサイバーリスク保険の公式サイトでは、「保険金をお支払いしない主な場合」に、放送業や、新聞・出版・広告制作などを営む者として行う広告宣伝・放送・出版が挙げられています(東京海上日動)。運用代理店の業務がこれに当たるかは、約款の定義しだいです。 - 一方で、広告の企画・代理・制作(インターネット広告を含む)を対象にした業務過誤賠償責任保険を公開している保険会社もあります(AIG損保。掲載情報は2018年時点)。 - 推測を含む助言: 加入の前に、「アカウントの乗っ取りによる不正な出稿で、顧客から賠償を求められた場合に補償されるか」を、保険の代理店や保険会社に書面で確認してください。サイバー保険と業務過誤保険の、どちらで補償されるかも確認が必要です。
5. 今日からできる対策(無料の標準機能)
Google 広告
| 設定 | 場所 | 防ぐもの | 注意点 |
|---|---|---|---|
| MCC のセキュリティ要件(2段階認証の強制) | MCC の「管理」→「アクセスとセキュリティ」→「セキュリティ」タブ→「認証」。適用範囲は「この MCC アカウントおよび所有するすべてのアカウント」を選ぶ | パスワードだけでのログイン | 対象は「所有する」配下のアカウント。既定では7日後から必須 |
| 許可されたドメイン | 「管理者」→「アクセスとセキュリティ」→「セキュリティ」タブ→「許可されたドメイン」 | 組織の外のアドレス(@gmail.com など)への招待 | MCC で設定して配下に適用できる |
| 複数の関係者による承認 | 承認と拒否は「管理者」→「アクセスとセキュリティ」→「セキュリティ リクエスト」タブ | 1人の管理者(乗っ取られた1つのアカウント)だけで、ユーザーの追加・削除・権限の変更、MCC のリンクができてしまうこと | 管理者が3人を超えるアカウントにだけ効く。 管理者を絞りすぎると働かない。Google のサポートは代わりに承認できない |
| パスキー | Google アカウントの「パスキーとセキュリティ キー」 | 機密の操作(リンクの更新、ユーザーの権限の変更、新しいユーザーの追加、請求先の変更)での本人確認 | 公式ヘルプは「一部の広告主で試験運用中」としている。乗っ取りの後は、見覚えのないパスキーが登録されていないかを必ず確認する |
| セキュリティ エージェント | 「管理者」→「アクセスとセキュリティ」→「セキュリティ」タブ→「セキュリティ分析情報」 | 普段と違うログイン、不審なメールドメイン、使われていないアカウント、過剰な権限 | 2026年4月に発表された機能 |
| アカウントの予算 | MCC の「アカウント」→対象のアカウント→「料金」→「アカウントの予算」 | 期間の合計の費用の上限を超えること(上限で広告が止まる) | 毎月の請求書払いの広告主しか使えない。 カード払いでは、カード側の利用上限で補う |
出典:MCC のセキュリティ要件、許可されたメールドメイン、複数の関係者による承認、パスキー、セキュリティ エージェント、アカウントの予算
Meta
| 設定 | 場所 | 防ぐもの | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ビジネスポートフォリオの二段階認証の必須化 | Meta Business Suite の「設定」→「ビジネスポートフォリオ情報」→「二段階認証」で「全員」 | 二段階認証のない人(退職者の個人アカウントなど)からのアクセス | 設定できるのはフルコントロールの権限を持つ人だけ |
| 役割と権限の見直し | Business Suite の設定(人・アセット) | 不要な人、退職者のアクセスの残り | 定期的に棚卸しする |
| 広告アカウントの上限予算 | 広告マネージャの支払いの設定 | 支出の上限を超えること | 支払いの形によっては設定できない |
| セキュリティセンター | Business Suite の「設定」 | 二段階認証の状況、管理者の数の点検 | — |
出典:Meta ビジネスヘルプ(二段階認証の必須化)、セキュリティセンター、上限予算 (Meta の公式ヘルプは画面の名前が変わることがあります。最新の画面で確認してください。)
LINEヤフー広告(旧 Yahoo!広告)
- 2026年4月30日から、ビジネス ID の2段階認証はオフにできなくなり、6月30日以降は未設定の人にメールでの認証が自動で有効になりました(LINEヤフー for Business)。メールのアカウント自体が乗っ取られると防げないので、より強い方式に切り替えることを勧めます(筆者の助言)。
- 権限は「管理権限・登録更新権限・参照権限」の3種類です。ユーザーの招待、アカウントのリンク、支払い方法の設定は、管理権限だけができます(LINEヤフー広告ヘルプ)。
- 操作の履歴は、検索広告では過去365日分を書き出せます(Yahoo!広告ヘルプ)。
どの媒体でも
- 「Google 広告」「Meta 広告」を検索してログインしない。 ブックマークから開く。検索結果の偽の広告が入口になった事例があります。
- 招待やリンクの依頼は、別の経路で本人に確かめてから承認する。 社名に似せた偽の MCC(「〇〇株式会社02」など)からの依頼が確認されています。
- 運用に使う端末を絞り、情報を盗むマルウェアへの対策をする。 ログイン後の情報を盗まれると、2段階認証は役に立ちません。
- Google 広告からの通知のメールを、見逃さない仕組みにする。 送信元は [email protected] です。Gmail のフィルタで、このメールを迷惑メールに振り分けない設定にし、複数の管理者が受け取れるようにします。正規の管理者が削除された後は、その人に通知が届かなくなる可能性があるため、一人だけに頼らないことが大切です(6章)。
AI の道具を使うとき
AI の道具(AI エージェント)に渡した許可は、パスワードや2段階認証を通らずに使える入口になりえます(2章「AI を悪用した手口」)。入口を減らすために、次のことを行います。
| すること | 場所・やり方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 管理者の Google アカウントに許可した外部のアプリと AI の道具を確かめる(ベースラインの A9) | Google アカウントの「リンク済みアプリ」で「Google アカウントへのアクセス権」を選び、アプリごとに「詳細を表示」でアクセス権を確かめる。使っていないもの、心当たりのないものは「アクセス権を削除」で外す | 管理者全員のアカウントで確かめる。退職者や外注先が許可した道具が残っていないかも見る |
| AI の道具に渡す権限を、必要な最小限にする | Google 広告のアクセス権には、メール専用、お支払いとご請求、読み取り専用、標準、管理者の段階がある。分析だけに使う道具なら読み取り専用にする | MCC の全体ではなく、必要なアカウントだけに絞る。管理者の権限は渡さない |
| 書き込みの操作に、人の確認を挟む | 予算の変更、広告の一括の作成・停止などは、AI の道具に任せきりにせず、人が承認してから実行する | 一度に大量の変更を続けて行わせない(筆者の助言) |
| 認証の情報の置き場所を決める | AI の道具に渡すアクセスのための情報(API のキーやトークン)を、コード、記録、ひな形に書かない。誰が、いつ、どの道具に、どの権限を渡したかを記録する | 報告された事案では、トークンが記録やひな形に残って漏れた可能性が候補に挙がっている(筆者の助言) |
| 外から取り込む指示の文や道具を確かめる | 配布されている指示の文(プロンプト)や、外部の道具とつなぐ仕組み(MCP)の道具は、中身と提供元を確かめてから使う | 報告された事案の候補の経路に対応する(筆者の助言) |
| AI の広告サービスとの接続は、提供元の公式サイトから行う | メールや広告から開いたページの「接続」のボタンで、Google にログインしない | 偽の AI 広告サービスの手口への対策として、Island が勧めている |
出典:Google アカウントと他のデベロッパーのアプリとのリンクを管理する、Google 広告アカウントのアクセス権の概要、Island
6. 監視:何を、どの頻度で見るか
設定で防ぎきれない以上、異常に早く気づく仕組みが要ります。
6-1. Google からの通知のメールで、何が分かるか(筆者の検証)
筆者は2026年10月10〜11日に、検証用の Google 広告の MCC を2つ(守る側と攻撃者の役)用意し、乗っ取りの手口の各段階を再現しました。そのとき、どちらの受信箱にどのメールが届いたかをまとめます。送信元は、いずれも [email protected] です。件名は、日本語の表示で届いたものです。
| 攻撃者の操作 | 守る側(MCC の管理者)に届いたメールの件名 | そのほかに届いたもの |
|---|---|---|
| ユーザーを招待する | ご利用の Google 広告アカウント(MCC の名前)に新規ユーザーが招待されました | 招待された本人に、招待のメール |
| 招待が受諾され、管理者が追加される | ご利用の Google 広告アカウント(MCC の名前)に新しい(管理者権限)ユーザーが追加されました | — |
| 正規の管理者の権限を取り消す(格下げ) | ご利用の Google 広告アカウント(ID)から管理者ユーザーが削除されました | 取り消された本人に「お客様の Google 広告管理者権限が取り消されました」 |
| 外部の MCC からリンクを依頼する | MCC アカウント(依頼した MCC の名前)へのリンク リクエストが保留中です(本文に、依頼した人のメールアドレス) | — |
| リンクが成立する | ご利用のアカウント(名前)が、クライアント センター(MCC)アカウント(相手の MCC の名前)にリンクされました | — |
| 配下のアカウントのリンクを解除する | 親の MCC の側に「…のリンクが解除されました」 | 子の側(リンクを外されたアカウント)には届かなかった |
| 標準の権限のユーザーを削除する | 届かなかった | — |
| キャンペーンの作成・予算の変更 | メールの通知は確認できなかった | — |
読み取れること - 2026年10月5日の事件の流れ(14:02 管理者の追加 → 14:03 正規の管理者の取り消し → 14:35〜 MCC のつなぎ替え → 14:44〜 不正なキャンペーンの作成)のうち、キャンペーンの作成より前の段階は、すべてメールで通知されることになります。 - 最初の通知(招待・追加)に気づければ、不正なキャンペーンが作られ始めるまでに30分以上の余裕がありました。 - 正規の管理者の権限が取り消されると、その人には以後の通知が届かなくなる可能性があります。取り消された本人にも「管理者権限が取り消されました」が届くので、これが本人にとっての最後の合図になります。 - 注意:件名は表示の言語や今後の仕様の変更で変わる可能性があります。検証は筆者の環境での結果で、すべての場合に同じ通知が届くことを保証するものではありません。
6-2. 何を、何で、どの頻度で見るか
| 頻度 | 見るもの | 何で見るか | 理由 |
|---|---|---|---|
| 常時(数分以内) | 管理者の招待・追加、権限の取り消し、MCC のリンクの依頼・成立・解除 | Google からの通知のメール(6-1) | 乗っ取りの前半の段階。ここで気づけば止められる |
| 毎時 | 登録していない人や、自動ルール・スクリプトによる変更 | 変更の履歴 | 自動で再開するルールが仕込まれた事例がある |
| 毎時 | 時間ごとの費用の急増 | 費用のレポート | 換金の段階。夜間・休日に起きる |
| 毎月 | ユーザーの一覧(パスキーの状況、ビジネス用以外のメールアドレスの利用者、招待者、追加日)、2段階認証の強制の状況、使われていないアカウント | 「アクセスとセキュリティ」の画面。ユーザーの一覧は画面から書き出せる | 入口を減らす |
媒体の機能の限界(2026年10月時点、筆者の検証を含む) - Google 広告のスクリプトからは、ユーザーの一覧、招待、MCC のリンクの情報を読むことができませんでした(読み取りが止められているという応答でした)。変更の履歴、予算、不承認の広告は読めました。 - Google 広告の変更の履歴(API)は過去30日分で、ユーザーの権限の変更は含まれません(Google Ads API)。管理画面の変更履歴では、過去2年分を確認できます。 - このため、乗っ取りの前半(権限とリンク)は通知のメールで、後半(キャンペーンと費用)は変更の履歴と費用で見る、という組み合わせが現実的です。 - 代理店の全顧客を、媒体を横断して見る仕組みは、自前で用意する必要があります。
7. 起きたときの初動
通知のメールで気づいたときの、最初の5分
心当たりのない通知が届いたら、まず次の操作で、攻撃の前半で止めます。どれも「管理者」→「アクセスとセキュリティ」の画面で行えます。
| 届いた通知 | すぐにやること |
|---|---|
| 新規ユーザーが招待されました | 「ユーザー」タブの招待の一覧で、その招待を取り消す |
| 新しい(管理者権限)ユーザーが追加されました | そのユーザーのアクセス権を削除する。招待した人のアカウントが乗っ取られていないかを確かめる |
| リンク リクエストが保留中です | 「管理者」タブのリンクのリクエストを拒否する。社名に似せた偽の MCC に注意する |
| …にリンクされました(心当たりのない MCC) | 「管理者」タブで、その MCC のアクセス権を削除する |
| 管理者ユーザーが削除されました/管理者権限が取り消されました | 残っている別の管理者に、すぐ連絡する。自分が締め出されている可能性が高い |
最初の1時間
- 動いている不正なキャンペーンを止める。自動ルールも止める(止めても再開した事例がある)
- 不正なユーザーと、見覚えのないパスキーを削除する。正規の管理者の権限を取り戻す
- 支払い方法を確認し、必要ならカードを一時停止する
- 社内と、影響を受けた顧客に第一報を入れる
Google への報告
「不正使用されたアカウントを Google 広告に報告」のフォームから報告します。報告の前に、次の証拠をそろえてください(Google 広告ヘルプ)。 - 変更の履歴の時刻 - 不正な MCC の ID - 予算の増額や自動ルールの証拠
送った後は内容を変えられません。払い戻しは、復旧と2段階認証の有効化の後に申請します。上位の MCC で起きた場合は、上位の管理者だけが修復を承認できます。
Meta への報告
個人のアカウントは、以前使った端末から facebook.com/hacked で手続きします(Meta ヘルプ)。ビジネスアカウントや広告アカウントは、Business Suite のサポートから報告します。
顧客への連絡の文例
本日〇時ごろ、弊社が管理する広告アカウントへの不正なアクセスを確認しました。現在、不正な配信の停止と媒体社への報告を進めています。貴社のアカウントで発生した可能性のある費用と影響を確認のうえ、〇時までに改めてご報告します。ご不便とご心配をおかけし申し訳ございません。
記録を残す
どの事件でも、復旧と返金の手続きには、時刻つきの記録が求められます。普段から、権限の一覧と変更の履歴を残しておくことが、事故のときの最大の助けになります。
8. 取引先と保険への説明(広告主の方へ)
広告主にとって、運用を委託している代理店のアカウントの管理は、自社の広告費とブランドを守ることに直結します。委託先の評価やチェックシートに、次の設問を加えることを勧めます。
広告主が代理店に聞くべき15の設問
権限 1. 当社の広告アカウントにアクセスできる人の一覧を、定期的に(例:月1回)見直していますか 2. 退職者・外注先・終わった案件の関係者のアクセスを、いつまでに外すと決めていますか 3. 組織の外のメールアドレス(無料のメールなど)や、複数の人で使い回すアカウント(共有アカウント)でのアクセスを、制限していますか
認証 4. 当社のアカウントにアクセスする全員に、2段階認証を必須にしていますか 5. 2段階認証の方式は何ですか(SMS・認証アプリ・パスキー・セキュリティキー) 6. ユーザーの追加や権限の変更に、2人目の承認を求める設定をしていますか
監視 7. 管理者の追加、権限の取り消し、MCC のリンクの変化を、どのくらいの速さで検知できますか(Google からの通知のメールを、誰が受け取り、どう気づく体制ですか) 8. 夜間・休日に費用が急増したとき、誰がどのくらいの時間で気づきますか 9. 変更の履歴と権限の一覧を、どのくらいの期間、保存していますか
事故対応 10. 乗っ取りが起きたときの初動の手順は、文書になっていますか 11. 当社への第一報は、発覚から何時間以内に届きますか 12. 媒体への報告と払い戻しの申請は、誰が行いますか
支払いと責任 13. 当社のアカウントの支払いは、誰の支払い方法で行われていますか。予算の上限は設定されていますか 14. 不正な消化が起きた場合、返金までの間の費用は、誰が負担しますか 15. アカウントの乗っ取りによる損害を補償する保険に加入していますか。補償の対象と限度額は
代理店の方へ
上の15問は、そのまま自社の点検表として使えます。答えられない設問があれば、そこが対策の優先順位です。保険の代理店に相談するときも、この15問への答えが、自社の対策の水準を伝える材料になります。
9. 業界への提言
- 業界の認証やガイドラインに「広告アカウントの保護」を。 国内の広告業界の品質認証(JICDAQ)の対象は、無効なトラフィックの対策とブランドセーフティの2分野です。認証を受けた事業者は200社を超えています(Web担当者Forum)。公開情報を見た限り、広告アカウントの守り方に関する基準や、業界団体の注意喚起は見当たりませんでした。乗っ取りは、広告取引の信頼を直接損なう問題です。
- 代理店どうしで、攻撃の手がかりを共有する仕組みを。 不正な MCC の ID、攻撃者のドメイン、誘導先の URL、偽の見込み客の手口は、1社で見つかれば他社でもすぐに使えます。共有するのは攻撃者の側の痕跡だけで、顧客のデータは含みません。
- 保険が、個々の対策を評価する仕組みを。 広告業はまとめて高いリスクとみなされがちです。権限の管理、2段階認証の強制、監視と記録の有無で評価されるようになれば、対策を進める代理店ほど保険に入りやすくなります。
付録A 用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| MCC(クライアント センター) | Google 広告で、複数の広告アカウントをまとめて管理する親アカウント。代理店が使う |
| ビジネスポートフォリオ(ビジネスマネージャー) | Meta で、広告アカウントやページをまとめて管理する仕組み |
| 2段階認証 | パスワードに加えて、別の手段で本人を確かめる仕組み |
| パスキー | パスワードの代わりに、端末の生体認証などでログインする仕組み。偽のサイトでは使えない性質がある |
| セッション Cookie | ログインした後の状態を保つ情報。盗まれると、2段階認証を通らずに入られる |
| 複数の関係者による承認 | Google 広告で、ユーザーの追加や権限の変更に2人目の承認を求める機能 |
| 業務過誤賠償責任保険(E&O) | 専門の業務上の過失で他人に損害を与えたときの賠償を補償する保険 |
| AI エージェント | 指示を受けて、画面や API を自分で操作して作業を進める AI の道具 |
| MCP(Model Context Protocol) | AI の道具を、外部の道具やサービスとつなぐための共通の仕組み |
| リンク済みアプリ | Google アカウントへのアクセスを許可した、外部のアプリやサービスの一覧。Google アカウントの設定で確かめ、外せる |
付録B 出典の一覧
本文中のリンクのとおり。調査の詳細と出典の全体は、別紙の調査メモにまとめています。
付録C 広告アカウント保護ベースライン v0.1(案)
代理店が自社の備えを点数で確かめ、取引先や保険会社に同じ物差しで示すための、公開の仕様の案です。どの道具でも、手作業でも計算できるように、項目と配点と確かめ方を公開します。意見を歓迎します。
考え方
- 100点満点。乗っ取りの手口に効く項目ほど配点を重くする
- 各項目に「確かめ方」を付ける。画面・書き出し(事実)、自動の記録(事実)、自己申告の3段階で、点数の確かさを区別する
- 取引先や保険会社に示すときは、確かめ方の内訳もあわせて示す
区分と配点
| 区分 | 配点 | 主な項目 | 主な確かめ方 |
|---|---|---|---|
| 権限 | 32 | 外部のドメイン・無料のメールのユーザー、共有アカウント、退職者・外注先の残り、見覚えのない招待、理由を説明できない外部の MCC とのつながり、管理者の数(4人以上で承認の仕組みが働く)、管理者の Google アカウントに許可した外部のアプリ・AI の道具のアクセス権(A9) | 画面・書き出し(ユーザーの一覧、関連するマネージャー)、自己申告(共有アカウント) |
| 認証 | 24 | MCC からの2段階認証の強制、許可されたドメイン、管理者のパスキー・セキュリティキー、運用の端末の管理 | 画面(セキュリティのタブ、ユーザーの一覧のパスキーの状況)、自己申告(端末) |
| 監視 | 19 | 管理者の追加・権限の変更に当日中に気づける仕組み(通知のメールの受け取りの体制を含む)、夜間・休日の費用の急増に気づける仕組み、変更履歴の定期の確認、セキュリティ エージェントの確認 | 自動の記録(監視の仕組みがある場合)、自己申告 |
| 予算 | 6 | アカウントの予算かカードの利用上限による、費用の上限 | 画面、自己申告 |
| 事故対応 | 9 | 初動の手順の文書、第一報の目安の時間、媒体への報告の証拠の集め方 | 自己申告(文書の提示) |
| Meta | 8 | ビジネスポートフォリオでの二段階認証の必須化、人の定期の棚卸し、上限予算 | 画面、自己申告 |
| 契約・保険 | 2 | 不正な消化の費用の負担の取り決め、乗っ取りの賠償を補償する保険の確認 | 契約書・約款の確認 |
項目ごとの詳細と、入力するだけで点数と直し方が出る点検表は、別途配布しています。
付録D 更新の履歴
- 2026年10月 初版
- 2026年10月 第2版:Google からの通知のメールの検証の結果(6-1)、Google 広告のスクリプトで読めない情報(6-2)、筆者の立場、広告アカウント保護ベースラインの案(付録C)を追加。「今日やるべき」に通知のメールの受け取りの体制を追加。15の設問に共有アカウントと通知の体制を追加
- 2026年10月25日 第2版の追記:2章に「AI を悪用した手口」(AI エージェントに渡した権限の悪用の報告、偽の AI 広告運用サービス、AI で巧妙になったフィッシング、参考として Meta の広告アカウントの停止の報告)を追加。1章の時系列に2026年2〜3月の報告を追加し、偽の AI 広告サービスの行に一次の情報(Island)を追加。5章に「AI の道具を使うとき」(リンク済みアプリの確認=ベースラインの A9、AI の道具に渡す権限の最小化など)を追加。要旨と用語集に AI の手口を追加